家に呼ばれた感覚。一目でこの家が好きになった【ADDress家守インタビュー】芦ノ湖A邸 ハルさん

ADDressの特徴は均質化されていない滞在体験。
観光だけではなく、家守やその土地にいる方々、同じようにさすらう会員同士の偶然の出会いから始まる交流の楽しさ。
家々の個性や偶然性を楽しむことこそが、このADDressのサービスを満喫するコツです。

家の個性を形にする、家守の存在。
今回は芦ノ湖A邸の家守、ハルさんをご紹介します。

もともとは音楽雑誌のライターから社会人人生を始めたハルさんは、秘書や事務、アロマセラピスト、客室清掃、家政婦などさまざまなお仕事をされています。聞くほどに「40代の大転換」「物事の捉え方の変化」といった深い話になりました。
なぜADDress家守になったかのお話から、聞いてみました。

※ハルさんは家守を退任しており、芦ノ湖A邸は家守を交代して運営しています。

芦ノ湖A邸に呼ばれたような出会い

もともと2021年の6月から会員でした。家守はおもしろそうと思って希望登録していたところ、7月には芦ノ湖で募集があり、軽い気持ちで応募したらトントン拍子で話が進み、8月には家守としてスタートしました。

家守に興味があったのは2つ理由がありました。

1つは、今までさまざまな宿泊施設を利用する中でお客様視点で「こうあるといいな」と思える点がいくつもあり、実現してみたいと思ったこと。
もう1つは客室清掃のアルバイトで宿泊施設の内部を知り、運営側になって管理人のようなことをしてみたいと思ったことです。

家守が決まって芦ノ湖の家を見に行ったとき、一目好きになってしまいました。家に呼ばれたような感覚でしたね。

もともとペンションだった芦ノ湖A邸。洋風の建物

(もともとペンションだった芦ノ湖A邸。洋風の建物)

この家の魅力はバブル期独特のデザインです。
もともとペンションだった家で、ダイニングも吹き抜けになっており、部屋には可愛らしい壁紙が貼られ、間接照明も配置されているんです。

オープン前は休止状態の建物でしたが、オーナーの仲間の大工さんたちの手によってみるみる息を吹き返しました。
私もリニューアル中の家へ見学に行きました。最初は下見で帰るつもりでしたが、ついつい掃除や片付けに参加して、結局そのまま数日間滞在していました。

可愛らしいインテリアの個室

(可愛らしいインテリアの個室)

天井が高く開放感のあるダイニング。窓の外に緑も見えます

(天井が高く開放感のあるダイニング。窓の外に緑も見えます)

オープン前の準備では、客室清掃の経験が活きました。部屋のすみずみまで実際に自分が使ってみてチェックしましたね。
客室清掃のときは、清掃の仕方は最初は現場の先輩から教えていただきましたが、
自分でYouTubeの動画で羽田空港のプロフェショナルな清掃を勉強したりもました。
勉強したいと思ったら、今は動画教材もふんだんにありますから。

仕事さえあればどこでも生きていける、と思った

最初の就職は音楽雑誌のライターでした。
その仕事をする中で、尊敬するシナリオライターの方から
「よい作品を書きたいのなら、普通の会社員の仕事の経験をしないと。普通への共感が必要だから」
と言われ、確かに音楽の世界だけだと視野が狭まると思い、派遣社員で15-6年、OAを使った事務や秘書など、さまざまな会社で働きました。

その後両親が体調を崩したのをきっかけにセラピーに興味をもち、整体やアロマセラピーも学んでセラピストとして8年半仕事をしました。

考えてみたら、セラピストのときはお客さんとして通っているうちに自分が施すほうになりたくなってきたのですが、客室清掃や今回の家守も、利用者として使っているうちにいつのまにか運営側になっているという流れがありますね。

裏側を体験したい、そんな好奇心があるのかもしれません。

両親が亡くなり実家を処分した後、多拠点生活を始めました。
仕事さえあれば、どこでも生きていけると思ったんです。
最初は不安もありましたが、発想を転換しました。
リゾートバイトもあるし、第一次産業で繁忙期の酪農や農業のお手伝いをしながら移動していくのも楽しいのではないかと。
家族がいたらこの考え方は難しいかもしれませんが、フリーだからの気軽さはありますね。
自分のやったことは自分の責任として引き受ければいいわけですから。
基本は「なんとかなる」と思っています。

空っぽの自分になって多拠点生活を始める

空っぽの自分になって多拠点生活を始める

子どものころはすごくポジティブで、人生悪くなるはずがないと思っていましたし、人を羨ましいと思ったこともありませんでした。それが大人になって嫉妬心が芽生え、ネガティブに考えるようになってしまいました。
人の目を気にして臆病になっていたのかもしれません。
そんな自分を変えたいと思い、本を読んだり、古今東西の偉人の伝記を読んだり、さまざまな体験を積んだり、何年もかけてたくさんのことに挑戦しました。

その中で、いいことも悪いことも、ポジティブやネガティブではなく、ニュートラルに捉えられるように心がけてきました。
例えば、誰かが怒っていて自分の感情が波だっても、「その人の姿を見て影響を受けて自分が不安定になているんだ」と認識して、ニュートラルポジションに戻っていくようなイメージですね。
そうすると恐いものがどんどん減っていくのです。

40代のときに「40過ぎたら、一歩間違うと頑固になるから」という言葉をきっかけに「このままではいけない」と思いました。
実際に40歳以降で「自分はこういう人間だから」と決めて他の意見に耳を貸さない人達も思い浮かんで。
知ってるつもりになっていたり、上から目線でものを言ったり、価値観が固まってしまうんですかね。
自分のことは自分が一番わからなかったりするので、自分もそう見えているかも、これではいけないと思いました。。
自信がついたと思っていたけど、それは偽りの自信だったのかもしれない。
だからゼロになろう、と思ったんですね。

ずっと住んでいた実家を処分して、自分が書いてきた原稿などの作品集さえも手放して。
空っぽの自分に戻って多拠点生活を始めました。

ADDressの多拠点生活を始めて、年齢層や生活スタイルもさまざまな会員との交流を楽しみました。一人で孤独にホッピングしていたとしても、共有スペースで歯磨きしている人やお風呂上りの無防備な姿の人を見て、「同じ人間がここにいる」と安心するんです。

ホテル暮らしも憧れますが、人と交流できるかというとそうではないのです。自分以外の人が普通の生活をしているのを感じて、こういう空間いいな、と思います。

芦ノ湖A邸では何もしない時間や空間を楽しんでほしい

芦ノ湖は自然が整っていて建物に魅力もあるので、ロケーションを存分に味わっていただきたいと思います。
普段の生活をそのまま芦ノ湖に持ってきて、非日常の中で日常を過ごしてほしいですね。
家守は極力お邪魔をしないで、いらした方の心の赴くままに過ごせるようにしています。

欧米では「何もしないのが最高の贅沢」と言うのですが、
日本では「ぎっちり予定を積めるのが贅沢だ」という考え方もありますよね。
ここでは欧米人のように「何もしない時間や空間」も楽しんでいただければと思っています。
家守はでしゃばらずに引っ込んでいます。

・・・といいつつ、会員との交流も楽しくて、BBQのやり方も教えていただいたり、
音楽のお話しで盛り上がったり。会員から教えていただくことも多くて。
家守としても楽しいことばかりですね。

日用品や食品などのお買い物をする場所が付近にはないのですが、
厨房は充実していますし、BBQセットがあるのでテラスでBBQを楽しむこともできます。
今後はさらに使いやすくなるように
物販コーナーを設けたり、イベントができる多目的スペースも作っていきたいですね。
いずれは露天風呂も復活させたいです。

BBQができるテラスがあります

(BBQができるテラスがあります)

朝の散策もおすすめです。林道を通って芦ノ湖に抜ける道があるのですが、気持ち良いですよ。
家から徒歩10分程度いくと、ホテルや宿の日帰り温泉を利用できて、
姥子温泉、強羅、仙石原など箱根は温泉が豊富です。
大涌谷までロープウェイで行くと富士山の絶景ポイントもあります。

芦ノ湖に続く林道。芦ノ湖A邸からは徒歩10分程度で芦ノ湖に着く

(芦ノ湖に続く林道。芦ノ湖A邸からは徒歩10分程度で芦ノ湖に着く)

芦ノ湖。ボート遊びや釣りも楽しめる

(芦ノ湖。ボート遊びや釣りも楽しめる)

また、近くにゴルフ場があるので、自然を感じるアクティビティもできます。
家から徒歩2分程度の場所に公共の体育館もあるので、ジムや体育館を借りてを汗を流すことも。
身体を動かして、温泉に入って、家で自炊して。健康的な滞在ができそうですね。
避暑地なので夏も快適ですが、秋は紅葉が美しいです。

***

どんどん話題が出てくるハルさん。サービス精神旺盛に話してくれました。

印象に残ったのが、「苦手なものを仕事にするんです」という話。
もともとハルさんは掃除、料理など家事全般が苦手だったそうです。
仕事にすれば、技術が身に付く→効率的になる→得意になる、と考えたとのこと。
苦手を苦手のままにおいておくのが嫌なので、敢えて仕事として引き受けて得意に変換されたそうです。
「負けず嫌いなんですよね」とハルさん。

好奇心でクルクル瞳を動かしながら、その奥には強い意志が感じられます。
お話しをずっと聞いていたい、と思える時間でした。

この記事を書いた人

高石典子

2020年8月よりADDress会員。月の半分はADDressの家を巡り、半分は自宅で過ごす。中学・大学生の2人の子の母。フルリモートで仕事をしており、母親業もリモート化できるのではと実験中。仕事はキャリアカウンセラー&ライター。喫茶店での読書と銭湯後の一杯が至福のひととき。得意技は「ポジティブ変換」。